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基準の検討が国際的になされているので、これらを参考としてシステムを構成することとした。また、操船シミュレータの現状と利用状況について国内の機関にアンケート調査を行った。
b)概念設計−−−以上の結果に基づき実験シミュレータの構成や実験可能なシナリオ、評価の基礎的検討を行った結果、次の要素の組み合わせで、航路形状や航行船の動静を把握する情報収集、衝突の危険の察知及びその表示、システムの監視機能を評価することとなった。
・航行海域:沿岸及び狭水道
・供試船:VLCC
・航行船の輻輳度:3種類
・その他:気象、海象の状況変化を行う
平成7年度の研究の概要
1)統合航海情報システムの概念設計
a)文献、ユーザの使用実績を対象とした現状調査と問題点、開発要素の抽出−−−現在使用されている航海情報機器及び新規導入可能な航海情報センサ等の調査を行い、船橋情報の分析と表示形態の検討を行った。
b)概念設計−−−方位、位置、速力、水深等の船橋情報について、各センサ各要素機器をリストアップし、自動運航システムに必要な要件を検討した。特に出力形態については表示アイテム・形態についての要求仕様を作成した。また本システムの中枢としてECDISの装備を考慮したので、従来の海図による航海と比べると、飛躍的に自動運航が行い易くなるとともに、座礁・衝突予防に大きな効果があると考えられる。
2)自動航法システムのシミュレーション計画及び評価の策定
a)自動運行システム−−−自動運行システムはレーダ、ジャイロ、GPS、主機、オートパイロットなどの航海情報や、制御指令などをデータ処理し、タッチパネル形式にて統合航海表示装置を構成し、一方、電子海図用表示装置を別のCRTに表示させるとともに音声出力によって「衝突危険船あり」とか「変針点に到着」などの6項目の音声出カメッセージを知らせる装置を付け加えた。また、特に衝突防止に有効なトランスポンダに関しては多くの資料を検討し表示機能とその情報を決定した。
b)操船シミュレータの技術調査−−−操船シミュレータは基本的には東京商船大学のものを使用するが本委員会で決めたソフトウエアを用いることとした。そして実験に用いるシナリオの基本事項も決定された。
c)実験結果の評価方の検討−−−実験後のこのシステムをヒューマンエラー防止機能の有効性、安全性、経済性等を定量的に評価をすることに決定した。
平成8年度の研究の概要
平成8年度の研究はシミュレーション実験を行ってその結果を評価することである。そのために次のような手順で研究が実施された。
1)自動運航システムの概念設計と開発要素の抽出
本研究で検討された自動運航システムと実験に用いられる東京商船大学の操船シミュレータとの取り合いを検討し、その要求仕様および詳細設計をまとめた。
2)自動運航システムのシミュレーション実験
a. 実験シナリオの詳細設計
シミュレーション実験の海域は次の3海域を選定した。沿岸域として東京湾入り口付近、狭水域として瀬戸内海備讃瀬戸東航路付近、沿岸域から狭水道への移行海域として同じく備讃瀬戸東航路入り口付近。また自然環境として昼間と夜間、晴れと霧、潮流の有無を設定した。

 

 

 

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